G-1とは?歴史と特徴
1950年 陸軍のA-2と双璧を成す海軍フライトジャケット「G-1」が登場します。
その歴史は古く1940年、常にライバル関係にあった陸軍のA-2に対抗する様な形でG-1のルーツとなる「M422」を開発。
ゴートスキンと襟にムートンをあしらった基本スタイルはこの当時から受け継いでおり、現代のG-1とほぼ変わらぬ姿で登場しました。
G-1を冠した初のモデル「SPEC.55J14」が登場するまでの10年間で様々なモデルに切り替わって行きますが、今日では基本を変えずに進化していく海軍フライトジャケットを総称して「G-1」と呼ぶ事が多いです。
1976年には一度 採用中止となりG-1は姿を消してしまいますが、パイロット達の強い要望により1984年に復活。
再び海軍の翼を象徴するアイテムとして返り咲き、現在に至ります。
G-1の系譜 年代による違い
海軍フライトジャケットの歴史はG-1のルーツとなる「M422」から始まり様々な変遷を遂げて行きます。
しかしデザインが似ている為に、最初はどれがG-1でどれがG-1ではないのか見極めるのは至難の技
ここでは代表的モデルに絞ってG-1の系譜を紹介します。
M-422
1940年。陸軍のA-2に対抗して開発したG-1の祖となるモデル。大型のポケットやムートン襟など、この時点で既に完成されている。
AN-6552
1944年。M422からM422Aを経て大戦中に登場したAN-6552。いわゆるG-1版赤リブと言えばコレ。当時の物資不足から陸海共用である事を意味するAN品番だった。(A=ARMY、N=NAVY)
AN-J-3A
1944年。こちらも陸海軍共用であるANを冠したモデルで大戦後から朝鮮戦争にかけて運用された。陸軍航空隊はほとんど使用しなかったが、AN-J-3Aを基にB-10を開発した。
G-1 SPEC.55J14
1950。記念すべきG-1を冠した初のモデル。とは言えM422からほとんどスタイルは変わらず。
G-1 SPEC.J-7823A
1959年。G-1として長く採用され続けたスペックJ-7823A。このモデルの起点に多数のマイナーチェンジが生み出され、末尾のアルファベットが変わっていく。
G-1 SPEC.J-7823D
1966年。マイナーチェンジである末尾にDが付いたモデル。その後の71年にはEモデルとなり、牛革製も登場するなど変化を見せたが76年に一度採用中止となる。
再び登場するのは84年からで、現在もコクピットUSAなどが供給している。
トップガン
今でこそファッションアイテムとして当たり前となったフライトジャケットですが、そのキッカケを作ったのは1986年のアメリカ映画「トップガン」の功績に他なりません。
トップガンは日本でも大ヒットとなり、当時無名の俳優であったにも関わらずトム・クルーズ旋風が日本を包みます。
女性誌では連日の「トム様」特集。そして男性誌では「キミもトムクルーズになれる!」とG-1フライトジャケットが猛プッシュされました。
若者達はこぞってパッチカスタムされたフライトジャケット(主に黒MA-1だった)に身を包み、ミリタリーファッションが大流行。
こうして当時の「カッコいいの最先端」となったトムクルーズの影響で、フライトジャケットはG-1を皮切りに世に広まり「ファッションアイテム」として市民権を得たのでした。
A-2とG-1の違い
フライトジャケットを象徴するA-2とG-1ですが、どちらも同時期に生まれた空を飛ぶアイテムである為、その見た目には似通った物があります。
ここではG-1の特徴をA-2と比較しながらチェックしていきます。
適応気温域 ゾーンが違う
摂氏10〜30度のライトゾーンフライトジャケットであるA-2に対して、G-1は摂氏−10〜10度のインターミディエイトゾーン。海軍ならではの防寒性を意識したフライトジャケットに仕上がっていて、その材質も水滴に強いとされるゴートスキンです。
バックスタイルとアクションプリーツ
バックスタイルもA-2とは違う大きなポイントです。シンプルなA-2に対し、G-1には機動性を高めるアクションプリーツが備えてあります。これが有ると無いとでは大違いで、普段使いはもちろんの事、バイク等でも肩が疲れません。
襟のスタイル
A-2とG-1の違いで最も特徴的なのが襟のスタイル。甲板上で潮風に晒される海軍では防寒の為 襟がムートンになっており、立てる事でネックウォーマーになります。また、襟の後ろにはUSNのステンシルが入っています。
ボタンフライポケット
A-2がフラップ式のパッチポケットなのに対してG-1はシンプルなボタンフライになっています。また、その形も角張ったワイルドなデザインになっています。
防風フラップ
ジッパーからの風をシャットアウトする防風フラップですが、A-2ではジッパーを覆い隠す様に表側にあります。
一方G-1は内側に備えたスタンダードなスタイルですが、みぞおち付近でフラップが途絶えています。街を歩く程度なら関係ないですが、バイクでは風をモロに受かるので要注意。
G-1のコーデと着こなし
どんな服装でも合わせ易いG-1ですが、一歩間違えると「ワイルド」から「野暮ったい」スタイルになってしまいます。
ここではG-1の王道コーデを3種類紹介します。これらを起点に様々なスタイルを試していくのも楽しいです。
ジーンズ&白シャツ
出典:http://blog.livedoor.jp
ジーンズと白シャツで小綺麗にまとめたスタイルです。G-1自体にインパクトがあるのでシンプルなアイテムが丁度よく、またボリュームもあるのでダボっとしない細めのジーンズがおすすめです。
ニット&カラーパンツ
出展:http://kurumani.com/
ワイルドなG-1には柔らかな印象のニットも良く似合います。更にブラックやホワイトのシンプルなカラーパンツを合わせるとより上品に。
フォーマル&G-1
出展: https://www.google.co.jp
オックスフォードやベストを合わせた上品なスタイルにG-1で刺激を与える着こなしです。ちょっと上級者向けかもしれませんが、派生させれば様々なスタイルを楽しめます。
最適な季節は?バイクや真冬の防寒性
適応気温域 -10〜10度のインターミディエイトゾーンにはMA-1やB-6など、非常に使い勝手の良いフライトジャケットが揃っています。
そこに属するG-1もちょっと肌寒い日から陽気の良い暖かい日まで、インナー次第で夏以外のオールシーズンで活躍する懐の深いジャケットです。
ただし、バイクとなると話は別です。
G-1はジッパーからの風を遮断するフラップがみぞおち辺りまでしかありませんので、バイクに乗るとここから風が侵入してしまい非常に寒い…。
降りてからはちょうど良いのですが、バイクでは春秋ぐらいがストレスが無く着れます。
G-1人気おすすめブランド
アヴィレックス
お馴染みアヴィレックスから、マーベリックのG-1を忠実に再現したトップガンモデルです。
劇中同様のパッチはもちろんの事、裏地は第二次大戦下のフランスの地図がプリントされています。これはパイロットが遭難した際に活躍したそう。
バズリクソンズ
パッチ無しのシンプルで落ち着いたデザインで、革は本物同様ゴートスキンを使用しています。価格もバズの中では比較的優しいので忠実なレプリカを求める方におすすめ。
トイズマッコイ
マックイーンと言えばA-2でお馴染みですが、実はプライベートでレシプロ機を操縦する際はG-1を着用していたそう。ライニングにマックイーンのタグを貼り付けた特別仕様です。
中田商店(モーガン)
日本におけるミリタリーショップの老舗「中田商店」のオリジナルブランド。
1950年代のSPEC.55J14を圧倒的なリーズナブルさで再現。襟ボアはリアルムートンでジッパーにはお馴染みTALONを採用。当時の雰囲気を存分に楽しめます。