B-10フライトジャケットの歴史
第二次世界大戦末期の1943年、初の布製飛行服「B-10」が登場します。
これまでフライトジャケットと言えば馬革のA-2、羊革のB-3など「なめし革」が主流素材でしたが、B-10ではそれらの枯渇により「コットン」を初採用。
摂氏 -10℃〜10℃に対応する「インターミディエイトゾーン」B-6の後継として登場したB-10ですが、ライニングにアルパカウールを採用した事でシープスキンに匹敵する保温性を誇りました。
動き易く、暖かい、優秀なB-10でしたが採用期間は短く僅か1年でその座をB-15に譲る事となりました。
B-10とB-15の違い
革に比べてかさ張らず、動き易いB-10でしたが実用化されるといくつかの問題が見つかりました。
例えばB-10はG-1の系譜である「AN-J-3A」のパターンを流用しているのですが、G-1系の特徴であるフラップタイプのポケットが使い辛い、など細々とした点です。
陸軍航空隊はこれらの問題を修正し、改良版を作るよりは新たなジャケットをデザインした方が良い、という結論に達します。
こうして1944年に誕生したのが近代フライトジャケットの原型「B-15」です。
B-15では切り込みの入ったスラッシュポケット、襟の周囲をよりぴったりとフィットさせるオフセットファスナー
そしてMA-1に至るまで続く丸みを帯びたシルエットを採用した事で、劇的な動き易さの向上に成功しました。
アルパカウール
B-10は襟にムートン、インナーにはアルパカウールが使用され、シェルはオリーブドラブに染められたコットンによって構成されています。
現在数多くのブランドからレプリカが販売されていますが、ボア襟とインナーの素材は様々で、実物同様 天然素材を採用したものからアクリルなどの化学繊維を使用したものまで多種多様です。
「レプリカ」の観点から言えば天然素材が正解なのですが、実際のところどちらも一長一短。
天然素材は確かに本物と同じである事の所有感、そして抜群の暖かさを誇りますが、その反面 価格は高くなりますし襟のムートンは虫に食われやすく、古くなると毛が抜け落ちます。
そしてアルパカウールは下に着ているシャツ等にベッタリと毛が付着してしまうのです…。
一方、化学繊維を使用したB-10はこれらと逆でリーズナブルな価格、抜け落ちない毛など、「ファッションアイテム」として見た時「レプリカ」以上の使い勝手を誇ります。
化学繊維では真似出来ない保温性や肌触り・・・はたまた天然素材では実現出来ないリーズナブルさと使い勝手・・・
B-10の購入を考えている方は以上の事を参考に、自分に合った最高の一着を選んで下さい。
B-10のコーデと着こなし
B-10&チノパン
出典:fashionsnap-freaks.net
B-10にスリムタイプのチノパンを合わせたシンプルな着こなし。インナーは白シャツや濃いめのオリーブでもカッコいい。クラシックミリタリーを綺麗な現代的スタイルに落とし込んでいます。
赤リブB-10&ジーンズ
出典:deskgram.net
B-10とジーンズを合わせたシンプルなアメカジスタイル。B-10の赤リブが良いアクセントになっています。
B-10&オーバーオール
出典:wear.jp
B-10にデニムのオーバーオールを合わせた着こなし。フライトジャケットとオーバーオールの相性が良く、ジッパーの開閉で激変するスタイルを楽しめます。
B-10人気おすすめブランド
バズリクソンズ B-10
現在入手可能なB-10の中でトップクラスの人気を誇るバズリクソンズのB-10。ファンの中でも人気の高い「フライングタイガース」のパッチが付いた第23戦闘大隊仕様。ラベルはラフウェア社の実名復刻です。
ヒューストン B-10
日本人の体型にリサイズされたジャパンメイドB-10。襟ボアはリアルムートン、左肩には「ARMY AIR FORCE」マークなどミリタリー感たっぷり。ライニングにはアクリルを採用して使い勝手とコストダウンを実現しています。
セスラー(中田商店)B-10
リーズナブル&高クォリティの中田商店ブランド「セスラー」のB-10。こちらも襟はムートン、ライニングは袖通しの良いアクリルを採用して圧倒的な低価格となっています。
トイズマッコイ B-10
アメカジ界のハイブランド「トイズマッコイ」のB-10。襟はムートン、ライニングはアルパカウールの本格仕様。高い防寒性を誇る最高級のB-10に仕上がってます。