ファッションの世界でパッチと言えばデザイン的な要素が強いが、ミリタリーの世界ではどうだろう?
マニアなら当然「”軍服”たるフライトジャケットのパッチには必ず意味があるはず!」と気になってしまう
そもそもパッチとはなんなのか?
パッチにはどんな意味があるのか?
パッチの付け方に決まりはあるのか?
などなど…
今回はフライトジャケットを語る上で避けては通れない「パッチ」について学んでいこう。
フライトジャケットのパッチとは?
映画「トップガン」の影響で、一躍市民権を得たフライトジャケット。
この当時街に溢れたのが、トム・クルーズ演じる主人公「マーベリック」が着ていたパッチベタベタのG-1を真似、パッチカスタムしたフライトジャケットを着る若者達。
しかし、そのほとんどがファッション感覚でパッチの付け方はバラバラだった。もちろんパイロットでもない我々にとってそっちの方が正当な楽しみ方なのかも知れない。
だが、実際のフライトジャケットの場合パッチひとつひとつに意味があり、付け方などの決まりもあった。
フライトジャケットのパッチの意味
フライトジャケットになぜパッチが貼り付けてあるのかというと「パイロットの経歴が一目でわかる」から。
一見すると好き勝手に付けている様だが、見る人が見れば持ち主の過去が分かってしまうのだ。
では、何故「過去」が分かってしまうのか?
例えばパッチの種類にはこんなのがある
・所属している部隊のパッチ
・過去に所属していた部隊のパッチ
・搭乗している機体のパッチ
・参加した作戦を表すパッチ
などなど、バリエーション豊か。
言わばパッチは「着る履歴書」の様なもので、パイロットがこれまでどの部隊に所属し、どんな作戦に参加してきたかなど、パッチを見れば一目瞭然なのだ。
パッチの取り付け位置
無造作に取り付けてる様に見えるパッチだが、実は細かなルールがあり、その規定も軍によって様々。
取り付け位置をマスターすれば、より”本物志向”なパッチカスタムを楽しめる!
アメリカ空軍のパッチ位置
服装が厳密に定められているアメリカ空軍では、パッチの取り付け位置も厳しく決められている。
・左胸にネームタグ
・右胸に航空軍
・左肩に航空団(または星条旗)
・右肩に飛行隊など
となっており、現在全てのパッチはベルクロ(マジックテープ)によって装着されている。
これには空軍独特の理由があり、敵が支配する地域の上空で作戦を行う可能性が高い空軍では、万が一、敵の捕虜になった場合に氏名を含め一切の情報を敵に渡さない事が重要になる。
その為、脱着を容易にし作戦行動中に所属部隊を秘匿する目的があるのだ。
更に空軍の特徴としては、「現在の」パッチしかジャケットに装着しない。
過去に所属した”履歴書”としてのパッチは、ヘルメットを持ち運ぶバッグに貼っているのだ。
これは空軍がまだ陸軍航空隊だった頃から同様で、当時のG-1がこれまで授かった全てのパッチを貼っているのに対し、A-2は必要最低限のパッチのみ。
実物を注意深く観察してみると、A-2にはパッチを付け替えた縫い跡が散見される。
アメリカ海軍のパッチ位置
パッチの着用に関して規定の厳しい空軍に対し、米海軍では特に規定を授けておらず、個人の好みによりパッチをつける事が出来る。
とは言えある程度の場所はきまっており
・左胸にネームタグ
・右胸に飛行隊
・左肩に飛行隊で使用する航空機(または星条旗)
・右肩に航空機に関するパッチ
これらのパッチはベルクロ式の空軍に対し、海軍ではジャケットに直接縫い付ける場合がほとんど。
ただしフライトスーツにはベルクロを介してパッチを取り付けている。
これは海軍の場合、空軍と違って航空機に搭乗する際フライトジャケットを着用しないからである。
航空自衛隊のパッチ位置
アメリカ軍から一転して、我らが航空自衛隊ではどうだろう。
航空自衛隊では、パッチについて特に規定はないものの、基本的な配置は下記の通り。
・左胸にネームタグ
・右胸にスコードロン
そして「肩に付ける」パッチは、それぞれの飛行隊ベースで大まかに決められているが、付けるパッチの選択は個人の裁量で良しとされている場合が多い。
その為、飛行隊や航空機に関するものや、各種の演習参加記念パッチなど様々なバリエーションがある。
この模様は各地の航空祭などで確認出来るので、リアル志向の人は自分の目で確認しに行こう。
なお、創設当時から空自ではパッチを直接ジャケットに縫い付けていたが、最近ではベルクロ式がほとんどになっている。
米空軍ではパッチの形通りに切ったベルクロを取り付けているのに対して、空自では約10cm角に切ったベルクロで、パッチの形に関わらず取り付ける事が出来るのが特徴。