L-2とは?歴史と特徴
第2次世界大戦末期の1945年5月。
アメリカ陸軍航空隊はA-2に変わる新たなライトゾーン用フライトジャケット「L-2」を登場させる。
と言っても、実際に”ポストA-2″として切り替わって行ったのは朝鮮戦争の頃になる。(因みに古参兵はこの当時もA-2を着用していたらしい)
パイロット達に愛されたA-2だが、素材である鞣し革の不足により大量生産が出来なくなり、また”レザージャケット”であるが故に手入れが必要だった。
その為L-2では新素材「ナイロン」が採用される。
このナイロンを発明したのは、アメリカの戦争に必ずと言っていい程関わってくる大企業”デュポン社”の研究員「H・Wカロザース博士」である。
今では特別珍しくもない一般的な素材のナイロンだが、当時は「※パラシュート・シルク」と呼ばれ、画期的な素材として崇められていた。
(※2次大戦中パラシュートの素材として使用されていた為。)
こうしてかつてない異素材で構成されたL-2は、正式採用された初のナイロンフライトジャケットとして、次世代飛行服の方向性を決定付けたモデルとなった。
何が違うの?L-2・L-2A・L-2B
このL-2は後にシリーズ化して行き、改良版としてまず登場したのがL-2A。
1947年に陸軍航空隊から独立した空軍が誕生し、そのシンボルカラーであるエアフォース・ブルーをまとい1952年に正式採用。
L-2からの変更点はカラーに加え、レザー製だったボックスタブがナイロンに変わったぐらい。
鮮やかなブルーを採用したL-2Aだったが、朝鮮戦争という実戦を経て「やめよ、目立ち過ぎ。」という、誰もが心に秘めていた理由から廃止されます。
この様な経緯でL-2Aの後継として、L-2Bが登場。
1950年代中期に採用されたL-2Bは、CWU-36/Pが登場する1978年までの長い間支給されていた為、初期型・中期型・後期型が存在します。
中期型・後期型では、ボックスタブにエポレット、特徴的だったストームフラップが廃止され、裏地はMA-1同様レスキューオレンジになっている。
L-2・L-2Aからの大きな変更として、これまでタイトフィットだった前モデルに対して、L-2Bは若干ゆったりとした型となっている。
まとめるとL-2Aはボックスタブがナイロン製に変わったものの、それ以外は特に変更なし。L-2Bも基本的には同様だが、生産時期により大幅に変更を加えたモデルもある様だ。
L-2の魅力
豊富なカラー
他に無いL-2の魅力と言えば「豊富なカラー」が真っ先に思い浮かぶ。
L-2には「L-2A」と「L-2B」という後継が存在するが、カラーの違いを除けばL-2と大差はない。
L-2Aは鮮やかなエアフォースブルー。
L-2Bは無骨なセージグリーン。
大きな違いと言えばフロントファスナー左脇にある酸素マスク固定用のタブが、レザー製からボディと同色のナイロン製になっている事くらいだ。
そうなるとますますカラーが重要になってくるが、おすすめはAもBも付かない初代L-2。
この初代L-2はオリーブドラブというなんとも渋くて古くさい色をしているのだが、このカラーを採用したフライトジャケットは王道のセージグリーンに比べて意外と少なく、天邪鬼なハートを刺激するのだ。
※バズリクソンズ L-2
セージグリーンのL-2Bも確かにカッコいいが、これが興味のない人からMA-1に間違えられて仕方がない。
そしてそんな心配のないL-2Aは、店頭で実物を見るとなんとも鮮やかでカッコいいのだ。
だが…いざこのカラーを着こなそうとすると中々難しく、一歩間違えば作業着ジャンパーになってしまう。
この様に実際に所有してみると各々良し悪しはあるが、自分の好きな色を選べるのは紛れもなく他にない魅力である。
サラリと羽織れる機動性
L-2の「L」はライトゾーン(摂氏10度〜30度)の使用温度域を示している。
カラーに続くL-2の魅力と言えばその「着やすさ」
見た目こそMA-1に間違えられる様なL2だが、非常に軽量で動き易く、MA-1の様なインナーも入っていない。
要は表地と裏地だけのペラペラなジャケットなのだが、ウィンドブレーカーの様に適度な保温性があるので日本の春先や秋先にピッタリ。
そしてA-2の後継だけあってタイトなスタイルなので、バタつきも無くライダーであれば夏に羽織る1着としても優秀である。(暑いけど)
出先で暑くなり小脇に抱えてもペラペラなので大した手荷物にもならず、場合によっては冬を除いたオールシーズン活躍する非常に使い勝手の良いフライトジャケットである。
L-2の着こなし
ミリタリー色が強めのL-2やL-2Bは、小綺麗にまとめるのがベスト。
白シャツやオックスフォードを合わせるとそれっぽくなるので楽チンだが、肌寒い日はパーカーを合わせるのも王道だ。
ただしブルーのL-2Aは、下手にミリタリーで固めるとバタ臭くなりがち。
パンツはデニムが王道だが、ストライプの入ったペインターなんかも似合う。
アメカジ全開のL-2。バランス次第で幅広いスタイルになる。
画像引用先:http://blog.livedoor.jp
パーカーと合わせたL-2。ホワイトやライトグレー系は簡単に決まる。
画像引用先:https://item.rakuten.co.jp
白シャツ、デニム、ワークブーツで固めた王道スタイルのL-2B。
画像引用先:http://www.realmccoys.co.jp
青いシャンブレーシャツとデニムを合わせた爽やかな着こなし。オールブルーにゴツいギャリソンベルトとワークブーツがアクセントになっている。
画像引用先:http://blog.livedoor.jp
こちらもデニムを合わせたコーディネート。インナーは白のTシャツやオックスフォードが合わせやすい。
画像引用先:http://jams.ocnk.net
L-2 サイズ選び
A-2程ではないがL-2もタイトな作りになっている為、サイズ選びはちょっと難しい。
近場に取り扱い店がなく、通販などで購入する場合は注意が必要。
一例なので大雑把な目安に留めて欲しいが、もし貴方がジャストフィットのA-2を持っている場合、1サイズダウン。MA-1を持っている場合は、そのまま同サイズがピッタリかも知れない。
サイズはメーカーによっても異なるので、あまりアテにせず…
しかし、実際に試着出来るならチェックするポイントはカンタン。
まずは「手首のリブ」
フライトジャケット全てに言えるが、手首のリブはダボつかない方がカッコいい。腕を伸ばしてみてリブが若干引っ張られる位がジャスト。
次に「着丈」
最近はMA-1をオーバーサイズで着るのが流行っているが、スタンダードに着こなすなら「しゃがんだ時にベルトがギリギリ見えるか見えないか」がベストである。
いや、ちょっとインナーが見えちゃっても良い位かも知れない。
この辺は好みと着心地で選べばいいが、しゃがんでベルトが見えない様なルーズサイズはカッコ悪い。
L-2のおすすめブランド
バズリクソンズ L-2
言わずと知れたレプリカブランド「バズリクソンズ」のL-2。パイロットが実際に着ていた当時のミルスペックを忠実に再現しながら、ランナップの中でも比較的リーズナブルな価格を実現している。L-2A・L-2Bに加え、SF小説から始まった架空の”黒い”シリーズ「ウィリアムギブソンコレクション」のブラックL-2も人気。
本格的なフライトジャケットの入門に最適な1着。
ヒューストン L-2
メイドインジャパンのミリタリーブランド「ヒューストン」のL-2。高い完成度を誇りながらもリーズナブルな価格を実現し、トップクラスのコストパフォーマンスです。
アビレックス L-2B
実際に軍に納入履歴もあるミリタリーブランド「AVIREX」のL-2B。トムキャットのパッチをはじめ、各所に独自のアクセントを加えたファッショナブルな1着。近年はミリタリーをモチーフにしたファッションブランドと言ったポジション。
トイズマッコイ L-2
圧倒的な完成度を誇るトイズマッコイのL-2。1917年設立の古参部隊”第36戦闘爆撃飛行隊”をモチーフに、パッチカスタムされた1着。こちらもラインナップの中では比較的リーズナブルな価格になっている。