MA-1とは?
1952年アメリカ空軍は傑作フライトジャケット「MA-1」を開発します。
革製のA-2、G-1から布製のB-10など、これまで時代と共に進化してきたフライトジャケットですが、中でもMA-1はフライトジャケットにとって怒涛の転換期を背景に登場します。
MA-1とB-15シリーズ
1940年代は第二次世界大戦の終結による軍の再編成により、陸軍航空隊は空軍へと独立。そしてジェットエンジンの実用化により航空機は大きく変化して行きました。
機能面で言えば機内火災の危険が少なくなった為、フライトジャケットは重いコットンを捨て軽くて丈夫なナイロンを採用。
この時登場したのがMA-1にそのまま襟ボアを付けた様なB-15シリーズです。
B-15シリーズはA〜Dまで数々の変遷を遂げますが、最終的にはジェット戦闘機用にヘルメットが大型化された事と機内の温度調節が格段にアップした事で、襟ボアを廃すなど最適化されたMA-1が登場します。
様々な変遷を経て完成したMA-1は、現行モデルであるCWU-45Pが登場するまで永きに渡り採用されますが、その分MA-1もマイナーチェンジを繰り返す事になりました。
年代による種類と変更点
MA-1は幾度となくバージョンアップが行われており、ミルスペック「MIL-J-8279」を起点にタイプGまで存在しています。
年代によってライニングがオレンジになっていたり、ポケットにフラップが付いたりと様々な変化があり、これらは大きく分けて前期・中期・後期と呼ばれる事もあります。
MA-1の前期・中期・後期モデル
朝鮮戦争を契機にMA-1もL-2A同様にカモフラージュ効果の高いセージグリーンになり、さらに中期には遭難時に発見されやすいように裏地がインディアンオレンジに変化して行きます。
初期型 1955年〜 | SPEC.MIL-J-8279 B-15Dがベース。酸素マスク用のホースタブとボックスタブ、角張った防風フラップが特徴。ライニングはグレー。 SPEC.MIL-J-8279A SPEC.MIL-J-8279B |
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中期型 1960年〜 | SPEC.MIL-J-8279C SPEC.MIL-J-8279D ライニングがオレンジとなりリバーシブルに。それに伴いラベルが首元からポケット内部に移動。ホースタブとボックスタブが廃止され、ボタンには塗装が施される。 SPEC.MIL-J-8279E ポケットの形状変更。スラッシュ型からフラップ型に。 |
後期型 1980年〜 | SPEC.MIL-J-8279F 最終モデル。グランドクルー(地上勤務要員)に支給された為、ライニングはグレーに戻りラベルからはFLYING(飛行士)の文字が外される。厳密にはフライトジャケットではなくなる。 SPEC.MIL-J-8279G ランドクルー用後期モデル。 |
MA-1のコーデと着こなし
世界的なファッションアイコンとして認知されるMA-1は、日本でもアメカジ文化の火付け役として80年代に大ブームを巻き起こした伝説のモデルとされています。
ここではMA-1の王道コーデを3種類紹介。慣れないうちはこれらを起点にアイテムを変えて行くのも楽しいです。
スウェット&ジーンズ
出典: gorillian.blog19.fc2.com
スウェットにジーンズを合わせた大定番のアメカジスタイル。清潔感があって非常にカッコいい! MA-1はボリュームがあるので合わせるボトムスはスリムタイプが簡単。スキニーじゃなくていいです、あくまでシュッとしたスリムタイプで。
インナーにパーカー
出典: baycrews.jp
ちょっと肌寒い日はシャツ+パーカーも定番です。スウェットからパーカーにする事でミリタリー感が薄まり、ガラリとカジュアルな印象に変わります。
ジーンズ&白シャツ
ムービースター「スティーブ・マックイーン」に習えばオックスフォードのシンプルなシャツも派生させやすいスタイルです。ただしスウェット、パーカーと違って小綺麗にまとめないと野暮ったくなるのでサイズ感・シルエットに要注意。
黒いMA-1
フライトジャケットが流行る時、火種になるのは何故か「黒いMA-1」
かつてのブームでは映画「トップガン」に登場したG-1が火付け役となりフラジャケブームが到来したが、実際多くの若者が着ていたのはG-1を真似てパッチカスタムしたアルファの黒いMA-1。
そして昨今そのブームが再燃するとやはりその中心にはMA-1があり、純正派からN3Bの様なロング丈のコートタイプ、L-2の様な薄手の物まで、多くのブランドがバリエーション豊かに展開していった。
しかし、現代でもファッションとしてのMA-1はセージvsブラックの勢力争いが続いていて、遂には「とある勘違い」をキッカケにレプリカブランドからも黒いMA-1が登場している。
ウィリアムギブソンコレクション
実物のフライトジャケットを研究し、忠実なレプリカとして復刻するマニアックなブランド「バズリクソンズ 」
そんなバズリクソンズのラインナップに突如として現れたのが、歴史上存在しないはずの黒いMA-1 「ウィリアムギブソンコレクション」です。
2003年1月に欧米でバズリクソンズの代理店を務めているイーストマン社に、「バズリクソンズには黒いMA-1が存在するのか?」という問い合わせが殺到しました。
疑問を感じて逆に問いただしてみると、アメリカのベストセラーSF作家ウィリアム・ギブソン氏の当時最新作だった「パターン・レコグニション」の主人公が、作中でバズの黒いMA-1を着ている事が判明。
ギブソン氏にコンタクトを取ると、彼自身バズリクソンズ製品を愛用していて…
と言う様な非常に面白いバックグラウンドから、フライトジャケットを知り尽くすバズリクソンズが敢えて存在しないブラックMA-1を現実の物としました。
これが、忠実なレプリカを求めるバズリクソンズのファンですら魅了してしまうクオリティですっかり人気商品となっています。
「ブラックのMA-1はカッコいいけどミリタリー感がなぁ〜」という方、これはかなり良いので要チェックです。
MA-1人気おすすめブランド
ヒューストン MA-1
日本の老舗ミリタリーブランド「HOUSTON」のMA-1。サイズを現代的にリサイズしているので野暮ったくならずスマートに着こなす事が出来ます。
カラーはセージグリーンとブラックの2種類。ライニングはレスキューオレンジになっています。
アヴィレックス MA-1
米軍指定のコントラクターとしてのルーツを持つアヴィレックスのMA-1。
MA-1をベースに現代的に再構築し、フードやステンシルなどを加えてストリートでも映える仕上がりに。
バズリクソンズ MA-1
『究極のMA-1』と名高いバズリクソンズの看板商品。
1957年製の初期型MA-1を素材から製法に至るまで研究し現代に蘇らせた人気モデルです。ズッシリとした重厚感、そして当時のコントラクターである「ライオンユニフォーム」の実名復刻ラベルです。
アルファインダストリーズ MA-1
80年代に大流行した過去を持つ時をアルファインダストリーズのMA-1。
中でも豊富なカラーが特徴で、セージ、ブラックの他にもブラウンやカモがラインナップされています。現代的にリサイズされたスタイリッシュなフォルムに「アルファの赤タグ」が付いた定番モデルです。
トイズマッコイ MA-1
お馴染みトイズマッコイから「アルバートターナー社」の実名復刻MA-1。
ベトナム戦争に従軍した第355戦術戦闘航空団仕様を復刻し、胸には当時「アメリカ空軍は空賊だ」と新聞で批判された事を皮肉った「ヤンキーエアパイレーツ」の非公式パッチ。
ロスコ MA-1
豊富なサイズと圧倒的なリーズナブルさが魅力の1953年創業 アメリカの老舗ミリタリーブランド「ロスコ」のMA-1。
米軍に製品供給を行っていたルーツを持つロスコは現在でも警察服やセキュリティ用品など、タフウェアを中心にラインナップ。他のブランドと比較しても追随を許さぬ価格となっています。