B-3とは?歴史と特徴
1934年 類稀なる防寒性を持つ傑作フライトジャケット「B-3」が登場します。
主に米陸軍航空隊の爆撃機搭乗員たちが愛用した”ボマージャケット”の代表格としても知られるB-3は、ヘビーゾーン(摂氏−30〜−10度の寒冷地用)フライトジャケットとして開発され、当時 最も優れた防寒素材の一つであった羊の毛皮を使用した「シープシアリング」という新たな概念を取り入れた画期的なモデルでした。
電気仕掛けのシープスキン
地上で纏えば汗をかく程の防寒性を持つB-3ですが極寒の空ではそうはいきません。
そもそもB-3は「タイプA-3」と呼ばれるトラウザーズとの併用を前提に開発された「フライングスーツ」で、爆撃機の搭乗員達は上下に分かれたこの飛行服をツーピースで着用していました。
しかし、冬の高高度飛行での体感温度は摂氏−30度以下にもなるらしく、全身をシープスキンで包んでもこの寒さを凌ぐ事は出来なかったのです。
最早「防寒」だけでは太刀打ち出来ないこの寒さに対し登場したのが、自ら「発熱」するエレクトリックフライングスーツ(電熱飛行服)です。コレをB-3、A-3の下に着用する事でやっとヘビーゾーンの気温域に対応する事が出来ました。
因みに衣料業界ではこれを「電気仕掛けのシープスキン」と呼んだそう。
B-3の流行
先に紹介した様にB-3は−30度に対応する抜群の保温性を持っています。
これを日本で必要としているのは真冬のライダー、オープンカー乗り位だったのですが、1980年代の後半になると驚く事にその愛用者は新宿に集中したのです。
この頃は86年に公開された映画「トップガン」の影響でフライトジャケットブームが巻き起こり、多くの若者はG-1やパッチカスタムされたMA-1を愛でていました。
フライトジャケットが流行っていたとは言えなぜ寒冷地用のB-3が新宿に集中したのか?
答えは簡単、ホスト系の皆様が愛用者だったのです。
ヘビ皮の尖った靴に金のネックレス、ピタッとしたTシャツにB-3。近年目にする事は殆どありませんがイメージの湧く組み合わせではないでしょうか?
因みに当時流通していたB-3の殆どがアヴィレックス社製で、タイプB-3とB-3タイプと呼ばれる2種類がありました。
B-3タイプ | 民間衣料の「B-3 タイプ」 両脇の下にスラッシュポケットの入った民間品に多く見られるデザイン。嘘か真かコクピットUSAが初出らしい。 |
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タイプB-3 | フライトジャケットの「タイプB-3 」 実物同様パッチポケットと馬革の補強が入ったデザイン。 |
ホストのハートを射抜いたのがどちらのB-3か定かではありませんが、どちらにせよ当時から10万円を軽く超えるB-3。
修理やガソリン代に四苦八苦していたレーサーレプリカ全盛期のライダーに手が出せるはずもなく(動き難いので必要ともされていなかった)
結果としてバブルに浮かれていた新宿の街にB-3が集中したのでした。
B-3の暖かさ バイクでの使用は?
B-3の暖かさは圧倒的で、他のいかなる素材のフライトジャケットを重ね着しても勝てない程の保温性を持っています。
持っていますが…防寒性能を除くと正直言って実用性が低いのが難点。
更にその暖かさも日常ではオーバースペックで、真冬でもインナーにTシャツ一枚で汗をかいてしまう上に脱いで小脇に抱えるには重く、かさばり過ぎるのです。
ではバイクならどうか?と思う訳ですが、これもまた難しい。
B-3に限らずシープスキンジャケットはとにかく重く、動き難いため、前傾姿勢となるセパハンや腕を伸ばすチョッパーなんかは肩が凝る事間違いなし。この場合はB-6が正解かもしれません。
それでもバイクで使いたい場合は「初期型」のB-3がおすすめ。
初期型はバックスタイルが2枚パネルになっており、3枚パネルの大戦中期型に比べて肩の機動性が段違いです。
散々B-3の不便さを書いてきましたが、要は「着る時と場所が限られるジャケット」という事で、真冬にこれ程頼りになるジャケットは他にありません。
B-3のコーデと着こなし
B-3は単体で強烈なインパクトを放つのでシンプル&カジュアルにまとめてしまうのが王道パターンです。
インナーはTシャツ、オックスフォード。ボトムスはジーンズやペインターが簡単です。
B-3&シャンブレーシャツ
出典: nari39morii555.wordpress.com
ハードなB-3に柔らかな印象のシャンブレーシャツを合わせたオシャレな着こなし。広い襟翼が顔を大きく見せてしまうので、実は帽子もB-3を上手く着こなすアイテム。ニット帽、ソフト帽、意外となんでも似合います。
B-3&トレーナー
出典: blog.livedoor.jp
Tシャツだけで暖かいB-3にトレーナーを合わせた極寒使用。B-3のインパクトが強いのでその他のアイテムはシンプルが丁度いいです。
B-3&A-2
ライダーにおすすめしたいのがこの着こなし。B-3の下にA-2(A-1もカッコいい)を着用する事で腰や袖口からの風をシャットアウトするライダースタイルです。意外とカッコよくないですか?
B-3のサイズ感と選び方
B-3のサイズ選びですが、基本的にはワンサイズアップがおすすめです。
例えば38インチのA-2やG-1がジャストであればB-3は40インチが安心。
これは素材となるシープスキンが他のレザーと比べて馴染み難く、「革の伸び」を期待してキツめを購入してしまうといつまで経ってもキツイままであるからです。
また、バイクで使用する際は腰と袖口から風の侵入があるので、B-3の下にウィンドブレーカーとしてA-2などを着る事があると思います。
この場合は着込める様にワンサイズor2サイズアップが丁度いいです。
元々ボリュームのあるB-3ですので余程のオーバーサイズで無い限りシルエットに大差はありません。強いて言えば袖口のボアに手が埋もれてしまう位でしょうか。
「A-2ほどサイズにシビアになる必要は無い」と言うのが個人的な見解です。
B-3人気おすすめブランド
アヴィレックス B-3
1975年の創業当時から作り続けてきたアヴィレックスのB-3。ムートン一枚革を用いた本格的なディテールとスタイリッシュなシルエットが特徴的です。左胸にはブランドのネームテープ付き。
アルファ B-3
CWUの正規コントラクターでもあるアルファのB-3。フェイクムートンを採用する事で他の追随を許さなぬ驚愕のバリュープライスを実現。カラーはブラックとブラウンから選べます。
トイズマッコイ B-3
フライトジャケットとしてはオーバースペック、と言われる程の高いクオリティと良質なレザーを使ったトイズマッコイのB-3。映画「WAR LOVER (戦う翼) 」でスティーブ・マックイーンが着用していたB-3を再現。
バズリクソンズ B-3
圧倒的な再現度を誇るバズリクソンズのB-3。当時のコントラクターであるラフウェア社製造の大戦初期型モデルで、背面2枚パネルの贅沢なつくりになっています。
モーガン(中田商店) B-3
映画の衣装提供も手掛ける日本随一のミリタリーショップ「中田商店」のB-3。B17爆撃機「モーガンメンフィスベル号」をブランド名にするだけあって高いクオリティ、そして比較的リーズナブルな価格を実現しています。